はちみつの中でも希少で高価とされるマヌカハニーは、別名「はちみつの王様」とも言われています。実は、普通のはちみつとは含まれている成分が異なり、そのため高い機能性を持ち合わせていることもわかっています。
そこで今回は、普通のはちみつとの成分の違いや、マヌカハニーを摂ることで期待できる効果に至るまで詳しく解説していきます。
はちみつの種類とは?
普段、購入しているはちみつにもいくつかの種類があることはご存知でしょうか? それは、蜜源の花の種類によってはちみつの味や香り、色などが異なるからです。
そのため種類が豊富で、日本国内で市販されているはちみつには下記のような種類があります。
- れんげはちみつ
- アカシアはちみつ
- クローバーはちみつ
- ひまわりはちみつ
- オレンジはちみつ
- レモンはちみつ
- そばはちみつ
- トチはちみつ など
つまり、はちみつが採れる花の種類だけ、はちみつの種類があると言えるのです。
日本で流通している海外産のはちみつには中国産やアルゼンチン産、カナダ産などがありますが、マヌカハニーはニュージーランドでのみ採れるはちみつの一つです。次の項目で詳しく見てみましょう。
マヌカハニーとは?
マヌカハニーとは、ニュージーランドにのみ自生するフトモモ科のマヌカの花みつで作られるはちみつのことです。マヌカとは、マオリ語で「復活の木」や「癒しの木」という意味を持っており、古くから様々な病気の治療に用いていました。樹皮をうがい薬にしたり、目の洗浄に用いたり、葉を煮た蒸気を風邪の際に吸入したりといったように使われているのです。
ニュージランドでは1800年代初頭にはちみつの生産が始まり、マヌカの花みつではちみつも作られます。これがマヌカハニーの始まりとされています。
普通のはちみつには含まれていないマヌカハニーの成分とは?
マヌカハニーが普通のはちみつとは違い、「特別なはちみつ」と言われるには理由があります。下記のような特徴的な成分が含まれているからです。
- ブドウ糖
- カルシウム
- ポリフェノール
- グルコン酸
- メチルグリオキサール
- シリング酸メチル
- トリプトファン など
特に注目したいのはメチルグリオキサール(MGO)です。マヌカハニーが大きく注目されたのは2006年のことですが、それはドレスデン工科大学のトーマス・ヘンレ教授による研究チームが、強力な抗菌効果をもたらすMGOを豊富に含んでいることを発表したのがきっかけです。このMGOは、マヌカの花に存在するジヒドロキアセトンという物質から作られるため、他のはちみつには含まれていないのです。
また、強力な抗酸化作用があるシリング酸メチルも豊富に含まれていることが確認されています。このような特徴的な成分によって、普通にはちみつにはない機能性がマヌカハニーにはあるのです。
マヌカハニー4つの嬉しい特長
マヌカハニーには天然の抗菌成分であるMGOやシリング酸メチルが豊富に含まれており、抗菌作用や抗ウイルス作用などが科学的に認められています。体に嬉しい代表的な4つ特徴について解説していきます。
抗菌作用
マヌカハニーに含まれるMGOには、下記の菌に対する抗菌作用が科学的に確認されています。
- 黄色ブドウ球菌
- ストレプトコッカス・ミュータンス菌(虫歯の原因菌)
- ヘリコパクター・ピロリ菌
- 大腸菌
- サルモネラ菌
- その他(アクネ菌、口臭、歯周病の原因菌抑制作用、緑膿菌、霊菌、化膿連鎖球菌)
「はちみつは虫歯にならない」と聞いたことがある方も多いと思いますが、これは過酸化水素(オキシドール)が含まれているからです。しかし、マヌカハニーには抗菌作用の強いMGOの他に、殺菌消毒作用が期待できるグルコン酸も含有しています。そのため普通のはちみつよりも、虫歯や歯周病の予防に役立つと考えられます。
抗ウイルス作用
はちみつにはフラボノイドなどの活性成分が多く含まれており、抗ウイルス作用があるとされます。ただし、マヌカハニーにはMGOが含まれており、下記の抗ウイルス作用も認められています。
- インフルエンザウイルス
- 風疹
- 水痘
- 帯状疱疹
- ヘルペス
MGOが抗ウイルス作用を発揮する仕組みは、タンパク質を糖化して変質させることにあります。そのため、ウイルスが増殖するのに役立つスパイク(ウイルスが細胞に侵入するための突起)やカプシド(タンパク質でできているウイルスの核を覆う膜)を壊すことができるのです。
長崎大学の研究グループでは、そばや甘露、アカシア、レンゲなどのはちみつと比べて、最も高い抗ウイルス作用を持つのがマヌカハニーと発表しています。
善玉菌増殖作用
MGOの強い抗菌作用によって、腸内環境の改善にも効果があることが確認されています。しかも、善玉菌と悪玉菌を区別して、悪玉菌だけを殺菌することで腸内フローラのバランスを改善すると考えられています。
また、大腸菌やサルモネラ菌などの食中毒の原因となる菌の抑制にも効果があるとされています。
抗酸化作用
株式会社シクロケムバイオの研究によると、試験を行った8種類のはちみつのうちマヌカハニーが最も抗酸化力が強かったという結果を発表しています。
マヌカハニーには38種類の揮発性成分が含まれていますが、そのうち最も多いのがシリング酸メチルです。このシリング酸メチルは、活性酸素から体を守る抗酸化作用がある抗酸化物質の一つです。そのため健康維持・増進などのほか、エイジングケアなどにも効果が期待できるとしています。
マヌカハニーを初めて食べる際の注意点
はちみつは蜜源となる花によって味や匂い、色などが異なりますが、マヌカハニーは見た目も濃い茶色で他のはちみつに比べてクセが強いとされます。独特のコクがあり、とろみが強いクリーム状で、ハーブのような香りがするのが一般的です。
そのため、マヌカハニーを初めて食べる際は、クセが強く感じてしまうかもしれません。MGOの含有量によって味や匂いなどは異なるため、クセが強くない、マイルドな食味のものから選び、徐々にMGO含有量の高いものにステップアップしていくのが良いでしょう。
【まとめ】嬉しい特長いっぱいのマヌカハニーを食卓に取り入れよう
豊富な栄養素を含むはちみつは、健康維持や増進などにも有効的です。中でも特徴的な成分であるMGOを含むマヌカハニーは、抗菌・抗ウイルス作用などさらに高い機能性を持っていることが科学的にもわかっています。カロリーも砂糖より低いことが確認されており、コレステロールやカロリーが気になる方にもおすすめです。
ぜひ食卓に取り入れて、普段の健康づくりに役立ててみてはいかがでしょうか。
参考:
一般社団法人日本マヌカハニー協会
http://j-manukahoney.jp/manukahoney
株式会社シクロケムバイオ
http://www.cyclochem.com/cyclochembio/research/041.html
山田養蜂場みつばち研究助成基金
https://www.bee-lab.jp/grant/report/honey_05.html
日本家政学会誌Vol.70「マヌカハニーの特徴とその機能性」兵庫県立大学加藤陽二
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/70/2/70_97/_pdf
農芸化学「マヌカハニーのマウス腸内フローラにおよぼす影響」山村学園山村国際高等学校生物高野美穂
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/55/1/55_68/_pdf
わかさの秘密「マヌカハニー」
https://himitsu.wakasa.jp/contents/manuka-honey/