血糖値が急上昇するといった健康へのリスクが懸念されるお砂糖の代用品として、ヘルシーな甘味料が注目されています。その代表が「アガベシロップ」と「はちみつ」です。
味や使い勝手のお好みは人それぞれですが、栄養素や特長、期待される健康・美容効果についてしっかり比較してどちらを利用するか検討したい人も多いでしょう。そこで今回は「アガベシロップ」と「はちみつ」の魅力について徹底比較したいと思います。
アガベシロップとはちみつを徹底比較
まずはアガベシロップとはちみつについて、栄養素や味わい、カロリーなどの特徴を比較してみましょう。
項目 | アガベシロップ | はちみつ |
原材料 | アガベという植物の根茎の樹液 | 花から採れる花みつ |
味 | クセがなく、無臭に近い | 採れる花によって異なる |
甘さ | 砂糖の1.3〜1.5倍 | 砂糖の1.0〜1.5倍 |
糖質 | 果糖が80%程度 | ブドウ糖と果糖 |
特徴的な栄養素 | ポリフェノール、イヌリン、サポニン、など | 糖質、グルコン酸、ポリフェノール、など |
エネルギー(100gあたり) | 310kcal | 294kcal |
GI値 | 21 | 40〜88 |
価格 | 800円〜1,500円(500ml) | 400円〜1,000円(500ml) |
注意点 | 肝臓に負担がかかる可能性がある | 1歳児未満の子どもは乳児ボツリヌス症にかかる危険性がある |
甘さはどちらも砂糖よりも1.0倍〜1.5倍程度となっており、甘味料の摂取量を抑えることができます。また砂糖のエネルギーは100gあたり390kcal前後ですので、どちらもカロリーを低く抑えることが可能です。砂糖の代用品として、アガベシロップやはちみつが選ばれているのも納得ですね。
ただし、含まれている特徴的な栄養素が異なることから、期待できる健康・美容効果も異なります。次からの項目で見ていきましょう。
アガベシロップとはちみつの栄養素の違いとは?
どちらも豊富な栄養素が含まれているためヘルシーで健康的な甘味料とされますが、含まれている栄養素は異なります。具体的に解説していきましょう。
アガベシロップの栄養素
アガベシロップに含まれる主な栄養素は下記になります。ビタミンやミネラルなどが豊富に含まれています。
- ポリフェノール...抗酸化作用、抗炎症作用など。アガベシロップにはケルセチン、ケンぺロールが含まれる
- イヌリン...腸内環境を整えるなど
- サポニン...殺菌・抗菌作用、抗酸化作用、免疫力増強作用など
- ビタミンE...抗酸化作用など
- ビタミンC...免疫力増強作用など
- ミネラル...生体を構成し、さまざまな役割を持つ。アガベシロップにはカルシウム、カリウム、リンなどが含まれる
特徴的なのは、腸内環境を整える働きをする水溶性食物繊維のイヌリンです。腸内の善玉菌を増やしたり、大腸のぜん動運動を助ける短鎖脂肪酸の産生を促す作用があります。ナトリウムの排出も促進させることができるため、高血圧の予防にも期待が持てます。
また、大豆などの健康に良いとされる食品に多く含まれるサポニンが含まれているのも特徴に値します。アディポネクチンの分泌を働きかける作用があり、脂肪燃焼にも効果が期待できます。
はちみつの栄養素
一方のはちみつも栄養素が豊富です。その数はビタミン、ミネラルなど合計で100種類とも言われており、バランスの良さも特徴です。
- 糖質...エネルギーとして代謝される。はちみつにはブドウ糖と果糖が含まれる
- グルコン酸...腸内環境を整えるなど
- アミノ酸...骨や皮膚などの体を作るほか、体の働きを維持・調整している。はちみつにはバリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニンなどが含まれる
- ポリフェノール...抗酸化作用、抗炎症作用など。はちみつにはケンぺロール、クリシン、ケルセチン、バニリン酸、バニリン、シリングアルデヒド、ガランギンなどが含まれる
- 葉酸...ビタミンB群の一種で、赤血球を作ったりDNAの材料になる
- ミネラル...生体を構成し、さまざまな役割を持つ。はちみつにはミネラルは、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、亜鉛などの12種類が含まれる
はちみつの糖分であるブドウ糖と果糖は、体への吸収が早い単糖類です。特にブドウ糖は脳のエネルギー源となるため、必要な時に摂ることで素早い脳へのエネルギー補給ができます。
ビタミンやミネラル、アミノ酸などはミツバチのタンパク源となる花粉に由来するため、アカシアやレンゲなどはちみつの種類によって異なるのも特徴です。洗顔料やシャンプーなどにはちみつが使用されることもありますが、それはグルコン酸などの有機酸が豊富で肌に優しい弱酸性だからです。
アガベシロップとはちみつそれぞれに期待される美容・健康効果とは?
栄養素の違いから、アガベシロップとはちみつのそれぞれに期待される美容・健康効果も異なります。下記の表にまとめましたので、比較してみましょう。
アガベシロップ | はちみつ |
・エイジングケアに期待が持てる(ポリフェノール) ・腸内環境を整える(イヌリン) ・心臓病やがんの予防に役立つ(ケルセチン) ・ダイエット効果に期待できる(低GI) ・生活習慣病や心臓血管系疾患の予防に役立つ |
・エイジングケアに期待が持てる(ポリフェノール) ・腸内環境を整える(グルコン酸やオリゴ糖) ・心臓病やがんの予防に役立つ(ケルセチン) ・日々の健康維持に役立つ(ビタミンやミネラル) ・殺菌作用が強く、ノドの炎症などを抑える |
上記のような健康・美容効果が期待できますが、あえて分けるのであれば、ダイエットや糖尿病の予防などを期待したい場合はアガベシロップ、日常的な健康維持のためにははちみつの摂取がオススメです。
中でも注目したいのは、アガベシロップのGI値の低さです。GI値が低い食品を摂ることで血糖スパイクが起きにくく、同じ量の糖分を摂っても脂肪はつきにくくなります。そのため、アガベシロップはダイエットや体型維持、糖尿病予防などに有効なのです。
ちなみに砂糖のGI値は110前後で、はちみつはその半分程度、アガベシロップは1/5程度と圧倒的に低くなっています。
【まとめ】ダイエットにはアガベシロップといったように使い分けるのもオススメ
人気の甘味料であるアガベシロップとはちみつの違いについて、さまざまな角度から比較してみました。どちらがオススメということではありませんが、特徴を把握して使い分けるのも良いでしょう。
ダイエットしたいのであればアガベシロップ、ノドが痛い時にははちみつなどといった使い方も考えられます。価格は同程度なので、調味料棚に並べて置いてもいいですね。
参考:
e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionaries/food
ALMA TERRA「アガベシロップとは」
http://agave-jp.com/about.html
IshiPedia「血糖値を上げにくい甘味料「アガベシロップ」」
https://ishipedia.jp/dictionary/diet-remedy/seasoning/agave-syrup/
秋田屋「はちみつと健康のコラム」
https://akipure.com/knowledge
山田養蜂場健康化学研究所「はちみつ」
https://www.bee-lab.jp/megumi/honey/index.html
厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html